隊員の家族らに見送られ、出発する海上自衛隊のP3C哨戒機(11日、那覇市の海自那覇航空基地。時事通信フォト)

 2015年刊『検証 安倍イズム』(岩波新書)でいち早くこの閣議決定政治を指摘していた政治ジャーナリストの柿崎明二氏が、その原点に遡る。

「第一次安倍政権時代の2006年、村山談話を換骨奪胎するために『侵略については定義が確立されていない』との政府答弁書を閣議決定したのが端緒でした。歴史認識や安全保障を中心として、第二次政権ではどんどん閣議決定を利用する範囲が広がっている。

 国会を通さずに官邸中心で作成できるし、その後の国会では野党の追及を『政府答弁書の通り』とかわすこともできる。安倍首相にとって非常に使い勝手がいいんです」

 そうした政治手法の“集大成”ともいえるのが、今回の国会同意なき自衛隊海外派遣だろう。

 1月20日から中東に派遣された海上自衛隊のP3C哨戒機が現地で活動を開始し、2月2日には護衛艦が出航する。

 小泉政権時代の自衛隊イラク派遣が国会で特別措置法を制定した上で実施されたのに対し、安倍政権は昨年の官庁仕事納めの12月27日、国会の議論がないまま「閣議決定」だけで派遣を決定した。

 憲法学者の水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授は、「安倍晋三という『無知の突破力』をもつ首相が長期在職していることによって引き起こされた異常事態」と厳しく批判する。

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